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蝶になった夢を見るのは私か それとも 蝶の夢の中にいるのが私なのか 夢はうつつ うつつは夢


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最近、ふと思いました。

ワタシの書いてるモノって、だいたいストーリーが長い。
いわゆる、長編ってやつ。

よく考えたら、自分、短編って書いたことないんじゃないか、と思い当たり……。


自分の作品が、なんで長編にばかり転んでしまうのか、
よくよく考えてみたんですが、
人物やプロットの段階で、詳しく設定しすぎてしまう、というところが
理由の一つではないか、と。

考え付いたこと全てを、あれもこれも、と盛り込もうとするから
結果的に長い話になってしまうんですね、たぶん。

それと、ストーリーを広げ過ぎてしまうのも、長くなる一因でしょう。

あるいは、簡潔にまとめることができないから、ダラダラと続けてしまうのか。
だとしたら、これはイカン。

で、訓練も兼ねて、今後は短編もガンバって書いていこう、と決心。


でも。

さっそく書こうと思ってるんですが、これがなかなか難しい。
自分の中で思いついた設定を、膨らませてしまうクセがあるので
どう考えても短い話の中では終わらない粗筋ばかりが浮かんできてしまって。

かといって、膨らませずに淡々と書くと
「だから何?」みたいな話になってしまう。

短編には短編なりの余韻というものがある、と私は思っているんですが
その余韻が難しい。
これがつまり、全てを書かず、読み手に想像の余地を与える、ということなのかもしれませんが、
うーん、難しい。

短いものを短くまとめるのって、大変です。実感しました。

今は続き物の長編しか載せていませんが、
そのうちに何とか短編も掲載できれば、と思っています。

ガンバろう。
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諛左は胡乱な目で、煙草に火をつける J を見ていたが、
やがて、その目の前に書類の束を幾つか無造作に放り投げた。
しかし J は目を通す素振りも見せない。
暫くの間、煙草の煙が空中に描く流線型の動きを目で追っている。

その視線が諛左のそれとぶつかった。
J は飽いた玩具を見る子供のような目付きで諛左を見た。
同様の視線が、諛左の黒い目から返ってきて J を突き刺す。

「依頼人って?」

J は金属性の灰皿で煙草の火を消すと、小さく欠伸をしてようやく口を開いた。

「まず、読め。そこに全部書いてある」

「メンドくさいよ」

書類に手をつけようとしない J を無視して、諛左は言葉を続けた。

「依頼人は女。名前は笥村麻与香(ハコムラ・マヨカ)。27歳」

長い髪を退屈気味に弄んでいた J が、手の動きを止めた。

「……いま何つった?」

「依頼人は女」

「そのあと」

「27歳」

「……真ん中だ、真ん中」

「依頼人は女。名前は笥村麻与香。27歳」

諛左は全く同じ言葉を繰り返した。
几帳面なのか単なる嫌がらせなのかは迷うところだが、多分後者だろうと J は確信している。

「世情に興味がないお前も、この名前を知らないとは言わせんぞ、J」

「……ハコムラ………ハコムラ・マヨカ」

J は思わず頭をかかえた。

「……ハコムラ・コンツェルンの麻与香か……!」


知る知らないどころではなかった。

今やハコムラ・コンツェルンがニホンの政財界に及ぼす影響力については
誰もが知るところである。

混乱の世の中で、ニホンがネオ・セブンと称される代表格にまでのし上がった裏には
ハコムラ・コンツェルンの雄・笥村聖(ハコムラ・ヒジリ) の存在があった。

そして、聖は8年前に3番目の妻と死に別れ、
20も年の離れた4人目の美貌の妻を手に入れた。

それが麻与香である。

権力者とその若く美しい妻の物語は当時の世間を大いに騒がせたものだ。


だが、実は J はそれ以前から麻与香と面識があった。
あまり思い出したくない記憶である。



→ ACT 1-14 へ

春。

希望に満ちた春。

輝かしい伝統を受けて、卒業。

(全員で)ソツギョー。


……というのは、ワタシが小学校のときの卒業式の呼びかけでしたが。
それは置いといて。


さて、春は会社での人事異動の季節でもあります。

ついさっき、元・会社の後輩からメールがあり、
聞いてもいないのに、今年の人事についていろいろ教えてくれました。
ワタシにとっては、もう関係ない世界の話なんですが、
辞めた後にどういう動きがあったのか、気になるところもあり、
メールを読んでみると。

なかなかどうして、相変わらずよく分からない人事配置。

相変わらず、というのは、
元・会社ではこの時期には毎年恒例のように、部署から部署へ人が異動するんですが
ハッキリいって、その意図がまったく分からないんですよねー。

全社的な目的があって、それに沿っての異動……とは思えない。
具体的には言えませんが、それが今年もあったようで。

メールをくれた後輩に「なんじゃこりゃ!?」と返信すると
「私も、この先何をどうして働いていけばいいのか分かりません」というメールがきて……。

会社の思惑はともかく、社員にこんな台詞を吐かせる会社って、
どうなんでしょ?

1年ごとにこんなことが起こるから、
皆、新しい環境に戸惑いながらもガンバって、
ようやく馴れた頃に、また変更……みたいな。
大変です。もはや年中行事か通過儀礼か、という感じです。


人事異動の他に部署編成まで変わって、
新規の部署ができたり、2つの部署が合併したり、もうぐちゃぐちゃです。
まあ、これもいつものことなんだけどね。

まだワタシが在社していたときに、当時の上司に
「なんで、こんなヘンな配置替えするんですかね?」と聞いてみたことがありますが
答えは、
「チャンスを与えられた、と思えばいい」とのことでした。

チャンス?

チャンスって、まず何か望みがあって
それに対してやってくるものでは?

自分とは全く畑違いの部署にいきなり回されて
やったこともない仕事にオロオロして
慣れるのに精一杯で、
その挙句の果てに、1年経ったら、また異動。

それって、チャンスを与えられたんでしょうか?
押し付けのチャンスって、チャンスと言わないのでは?

実際、そのチャンスとやらを与えられて
しばらくガンバってみたけど
「やっぱ、ムリ……」と辞めていった人間もたくさんいるのになあ。
これって、すごく遠まわしなリストラみたいなもんです。

会社にそのつもりはないんでしょうけど。
何てったって「チャンスを与えてやった」んだから。


もっと大変なのは、辞めたくても辞められない事情がある人たち。
そういう人たちは、どんなにツラかろうと、
働き続けるしかない、と思いながらガンバっています。
想像するだけでシンドいです。


それとも、これは元・会社だけの話ではなくて
世にある全ての会社もそうなんでしょうか。
他の会社を知らないから、何ともいえませんけど……。
もしそうだとしたら、シビアな世の中ですね。ホント。


とりあえず、後輩には

「まあ、たぶん、人事や部署編成が変わっても
仕事の内容自体は多分変わんないだろうから、
今までどおりに働いとけばいいんじゃない?
どうせ、1年後には、また変わるだろうし」

……と、非常に軽い返信をしておきましたが。


送った後で、ホントに悩んでる相手にはちょっと無責任だったかな、と思いましたが、
すぐに後輩から

「そうですね! 毎年こうですもんね! それはそうと、今度ゴハン食べに行きましょー!」

と、あっかるいメールが返ってきました。

さすが後輩。よく分かってる。

てゆーか、悩んでねーじゃん。



あーあ、ちょっと会社批判になっちゃいましたが。たまにはいいか。

いや、ワタシなりに元・会社には感謝してるんですよ。一応。
何しろ、長いことお給料もらってたし。

でも、それだけでは解決できないモノも心の中にあるんです。

歯ぐるまになりきれなかった女の独り言でしたー。

諛左。
厄介な、そして時と場合によっては無制限に危険になれる男だろうと、しばしば J は思う。

穏やかな時ですら、何を考えているのか分からない常に冷静なその視線。
それは、時々薄情な光を帯びて見る者を突き刺す。
黒いのに、まるで氷のように感じるのはきっとその光のせいだろう。

獰猛な獣が獲物を狙って密やかに木の陰に隠れ待つ。
そんな秘めた狂暴さが諛左には付きまとっていた。
顔の造り自体は整っているだけに、剣のある表情が一層際立って見える。

諛左はいつも人を小馬鹿にしたような笑いを浮かべて人を見る。
J はそれが気に入らない。
冷笑、というやつ。
その笑みとともに、今まで何度この男に鼻先であしらわれたことか。

事務所の主である J の方が立場的には上なのだ。
しかし、この男にはそんな意識はさらさらない。
J を平然と 「お前」 呼ばわりするのはフォンでの会話の通りである。

尊敬しろとは言わないが、せめて他人を見下すのはやめてもらいたいものだ。
折につけて J は思う。

この男とは毎日のように顔を付き合わせている J だが、
しかし、いまだにパートナーとして認めるのには抵抗があった。

非従順という点では誰にも引けを取らない男なのだ。


J は少し不機嫌の色を帯びている表情を隠そうともせず、ゆっくりとデスクに歩み寄った。

「似合うよ、諛左。そうやってると、まるであんたがオフィスのボスみたい」

「……」

諛左は黙って机から立ち上がった。
その鉄面皮からは相変わらず感情は読めない。

J は肩をすくめてデスクに近付いた。

すれ違いざま、ふと顔をしかめた諛左が J の腕をとり、その歩みを止める。
怪訝な表情で振り向いた J の顎をとると、諛左は顔を近づけた。
そのまま J の口元で、クン、と鼻を二、三度ひくつかせて呟く。

「お前……一杯空けてきたな」

しまった。
至近距離以上に近いところから一対の黒い瞳に睨まれた J は、ついと目をそらした。

傍から見れば、口説き口説かれの体勢に見える2人の姿だったが、
交わしている言葉と漂う空気は、甘さとは程遠い。

「……何のことかな」

「誤魔化すな。シャワーを浴びただけじゃ呼吸の匂いまでは消せない。
安物のワインの匂いはな」

こいつは犬か。
J は心の中で毒づいた。

もしも諛左並みの嗅覚を持つ人間が警察にいれば、
飲酒運転の取り締まり件数は今よりも飛躍的に増えるに違いない。

「仕事前は飲むなと、あれ程言っているだろう」

「……ちょっとだけだよ」

J は顎に触れている諛左の手を迷惑そうに振り払った。
諛左の小言は続く。

「ちょっともたくさんも同じことだ。
アルコールが多少なりとも脳の働きを鈍くするのは証明されている」

相変わらず、諛左の言葉は理屈めいていて、容赦ない。
J は諛左の言葉を無視して、デスクの向こう側にある椅子に深々と身を沈めた。



→ ACT 1-13 へ

前々から何となく調子が悪かったSONYのPSXが
ついに一切のDVDを認識してくれなくなり、ミスター・コンセント行きに。

何しろ、買ったのもレンタルのも含めてDVDが再生できない、
ゲームもできない、
ハードに録画した番組をDVDに焼くこともできないってんで
まいったまいった。

今までにもPSXの不具合はネットとかで色々ウワサを聞いていましたが
それを考えると、ウチのはよくもった方なんでしょうか。

原因はよく分かりませんが
間違えて買ってしまったDVD+RWを無理やり使おうとしたのが決定打だったかも。
たぶん、PSXはDVD-RWしか受け付けなかったんじゃなかったっけ?

いずれにしても、メーカー修理になるので
1週間はかかるとのこと。

「ハードに録画してあるものは、
もしかしたら消えるかもしれません……」と念を押されましたが
まあ、別に大したものが入ってないから、いいや。

と言いつつ、
「ごくせん」の再放送も入ってるけど……。
「ドクター・フー」の最終回も入ってるけど……。
「ぐるナイ」のゴチバトルも何週間分か入ってるけど……。

まあ、録画してDVDに焼いても
改めて見直すことって少ないんですけどね。

映画のDVDは、ポータブルのDVDプレイヤーからTVにつないで代用するとして
それよりも、ゲームができないのがツマラナイ。

今では、さほどゲームに時間を費やしてるわけではないですけど
ちょっと息抜きしたいときには、やっぱり欠かせないし。

早く戻ってこないかなあ。

千代子は顔に余り表情を出さない女だった。

寡黙で、余計なことには口を挟まず、言われたことはソツなくこなす。
時間にも忠実で、毎朝9時には部屋を出て、階下の事務所に姿を現す。
その上、記憶力の良いところも気に入って J は千代子を使っていた。

世の中には、ひがな一日口を動かしていなければ気が済まない女が氾濫している。
そんな中で、千代子は極上品だった。
素性がどうあれ、その点だけは間違いない。


J は通りに面した窓ガラスから、朝起きた時と同じように外の景色を改めて眺めた。

当たり前だが、4階から見るよりも人々の表情が近い。
J は理由もなくため息をついた。

オフィスに顔を出すと否応なく思い知らされる。
また、一日が始まったことを。
その思いがどうしようもなく J をウンザリとさせるのだ。

奥にもう一部屋あることを考えると、
ビルの外観から想像するよりも事務所の中は意外に広い。
事務所を訪れた依頼人との話は、大体奥で行われる。
今、諛左が待っている筈の部屋だ。

そして今日の11時頃に、その部屋で新たな依頼人と語り合うことになっている。
その予定は、先刻諛左に聞かされた通りである。

J はもう一度、聞こえるか聞こえないかのため息をついて、奥へと足を進めた。


千代子の言葉通り、諛左は煙草を吸って J を待っていた。
部屋の一番奥に設置えられた大きな木製のデスクに腰掛けている。

黒い瞳が、入ってくる雇い主の姿を無言で迎えた。


実のところ、千代子と同様に J はこの男のことをよくは知らない。

『大災厄』 時代が過ぎてしばらくした後、
バラバラになった世界各地では内紛、独立などの争いが日常化した。
いわゆる 『小競り合い時代』 の到来である。

そして、ニホンから遠く離れた地においては、その混乱は今もなお続き、
少年であった諛左は彼の父に連れられて、
いまだ内乱の火がくすぶる海の向こうの国へ渡ったのだという。
他の多くの人々が報酬を求めて同じ行動を取ったように。

恐らく、父親は戦地において傭兵 -マセナリィ- として過ごしていたのだろう。
そこで J の父親と知り合ったという話だった。

諛左が今、J の事務所で雇われているのは、J の父親が絡んでいるためだ。
しかし、J 自身はまったく預かり知らぬ話であり、
自分の父親と諛左との間にどういう経緯があったのか不明だし、それ以前に興味もなかった。

同様に、諛左の前身や経歴などにも J は関心がなかった。

否。

正直に言うと、関心がないわけではない。

しかし、殊更に知ろうとする J の好奇心も諛左に関しては鳴りを潜めていた。

聞かなくても、諛左の醸し出す雰囲気から想像はつく。

元・マセナリィ。

少年時代を戦地で過ごした人間は、必ずと言っていいほど辿る道。
恐らくは、諛左の父と同じ道。
J はそう確信している。

さほど真っ当に生きているとは言いがたい J の目から見ても、
堅気とは程遠い空気をまとう男だった。



→ ACT 1-12 へ

プロフィール
HN:
J. MOON
性別:
女性
自己紹介:
本を読んだり、文を書いたり、写真を撮ったり、絵を描いたり、音楽を聴いたり…。いろいろなことをやってみたい今日この頃。
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