最新の記事から見ることができるように一度ブログを変更しましたが、
やっぱり私なりに不便なので、元に戻してしまいました……。
そのうちに、うまくカスタマイズできれば、と思います。
今日は小説はお休みです。
その代わり、京都に行ったときの二日めの話を。
二日め、つまり19日は前日から一転して、雨がちな日でした。
そんな中、太秦の映画村へ。
一度行ってみたかったんです。
でも、雨の中を映画村に訪れる人は当然ほとんどなく、超ゴースト・タウン状態でした。
人がいなくて空っぽ。
ここも。
ホントにいないし。
「おーとこだったーらー」と、お馴染みの銭形平次のテーマ曲が流れる中、
トボトボと村の中を散策。
これが平次の家。
いやー、人こそいなかったけど、ホントに時代劇の世界を歩いている感じ。
撮影はしていませんでしたが、
雨の中にもかかわらず衣装をつけて佇んでいるスタッフの人と写真を撮ったり
店でお茶をご馳走になったり、私なりに満足です。
でも、京言葉って、聞いているだけで何か癒されます。
お店のお姉さんが話している言葉に、つい聞き惚れてしまいました。
それにしても、京都に来てから
湯豆腐やら、湯葉やら、茶碗蒸しやら、朝がゆやら、
食事は京都を意識したチョイスで、それなりに美味しゅうございましたが
二日めの昼は、いい加減、何かカタイものが食べたくなり、フツーの御前定食で。
その定食を食べたお店に、「日々是好日」と筆書きされた掛け軸を見つけ、
何となく嬉しくなってしまいました。
食べ終わったお膳を下げに来たお兄さんに
「きれいに食べてくれはって」と言われたんですが
あれは、誉め言葉と取っておけばいいんだろうか……。
帰りもサンダーバードでしたが、
まあ、指定席でなくても座れるだろう、と思って、自由席にしたんですが
まあ、空いてない空いてない。超満席でした。
結局、福井まで立ちっぱなしで、足痛いったら。
それにしても、平日のサンダーバードは、まさにビジネストレインですね。
ほとんどがサラリーマンのオジサマばっかりだったのが印象的でした。
とにかく慌しい二日間でした。
でも、最初は気乗りしなかった京都旅行だったんですが、それなりに○。
そして母親は、今度、友達と白川郷に行く予定らしいです。
元気な人だ。ホントに旅行好き。
母曰く、「残りの人生、好きなことをして過ごすのよ」。
まあ、娘としては不安ではあるけど、
本人が楽しいなら、それでいいか、という心境です。
白川郷に行く時には、母が車を出さなきゃならないらしいのですが
行ったことがないので、一度、旅行前に自分で運転して行ってみたい、と言い出し
恐らく、私もナビとして同行することになりそうです。
ま、いいけど。どうせヒマだから。
悩める王の思考を遮る声が、王の間の入り口から響いた。
家臣の一人が、手に何かを携えて佇んでいる。
「ただ今、城下の者が、このようなものを持ってまいりましたが……」
「何じゃ、こんなときに」
王は不機嫌そうに言った。家臣は不興を買ったのではないか、と恐れながら、さらに付け足した。
「それが……妙なことでございますが、使いの者が、こちらにおわすフィランデの方々に渡してほしいとの言伝てを申しておりまして」
「フィランデの?」
王と使者は顔を見合わせた。いずれも、心当たりがない、という表情を浮かべている。
確かに妙である。ヴェサニールの民が面識のないフィランデの使者に何を渡すものがあるのか。
「誰じゃ、それを持ってきたのは」
「はあ、城下にある酒場の主人でございます」
「酒場?」
またもや王と使者は視線を合わせた。
使者は怪訝な顔をして、家臣から何かを受け取った。
それは一枚の紙を数回折りたたんだものだった。使者は忙しない手つきでそれを広げた。
紙面には何事かが走り書きしてあり、しばらくそれに視線を走らせていた使者は、読み進めるにつれて次第に目を剥き、表情を強張らせる。
「何事かな、御使者殿」
使者の面相の変化に不審を抱いた王が尋ねる。
尋ねられた方は、はっと目を上げると、消え入りそうな声でそれに答えた。
「それが、その……」 使者は非常に言いにくそうである。「王子からの、手紙でございます」
「手紙? タウケーン王子の? まことか!」
「はあ……」
「差し支えなければ、ぜひ見せていただきたいが」
すぐにでも引っ手繰ってしまいたい、という気持ちを抑え、一応の礼儀を持って王は使者に言った。
しかし、それは頼んでいるというよりも、使者の耳には有無を言わさぬ命令めいた口調に聞こえた。抗うことはできず、使者は王の視線を避けるようにして手紙を差し出した。
王が目にした紙面には、あまり達筆とはいえない筆跡が記されている。
普段から書物を読むことに余り慣れていない者が書いたであろうと一目瞭然のその文章は、ところどころ誤字を線で消して正しい文字が書き直してあり、読みにくいことこの上ない。
書かれていたのは、次のような内容だった。
一度は結婚すると決めたものの
一人の妻を迎えることで
世の中にいる幾千もの女性を悲しませることになると思うと
非常に心が痛み、結婚する気がなくなってしまった。
偶然にも、その気がない、という点では王女も同じ意見らしいし
まあ、お互い様ということで。
国に戻るのもどうかと思うから、しばらく他国で過ごすことにした。
そのうち戻るから、心配するな。
皆には代わりに謝っといてくれ。
それはそうと、この手紙を持ってきた男に酒場の支払いをしておいてくれ。
数日分の飲み代が未払いなので。
それから、当座の出銭のために
お前達の持ち金を借りていくが、悪く思うな。いつか返すから。
手紙を読み終えた王は、しばし無言であったが、やがて無作法であるのを承知でそれを床に投げ捨てた。慌てて使者が手紙を拾い上げるのを無視して、玉座にどっかりと腰を落とす。
誰もがその顔色を窺っている中、王は苦いものを噛み潰すような面持ちで視線を泳がせた。
どうやら、馬鹿者という称号を与えられるのは、我が娘だけではないらしい。
あの馬鹿婿。
いや、むしろ、王子の方がサフィラよりも質が悪いではないか。
放蕩者との噂は知っていたが、聞きしに勝る無茶ぶりである。
タウケーン王子をヴェサニールに迎え入れることができなくなった今となっては、むしろその方が良かったのでは、という気持ちすら沸いてくる。
もう、どうとでもなれ。
王はその日何度目かの大きなため息をついた。
→ 終章・旅の始まり 9 へ
今までは古い記事をTOPに載せていたんですが
最新記事から見えるように直しました。
それに伴い、左列の「最新記事」プラグインは削除し
一番上にカテゴリーを持ってきました。
大した修正ではありませんが。
でも、そうすると、カテゴリーから入って読んでくださる方には
章の最後から表示されてしまうんですよね。
うーん、どうしようかな。
不便だな、と思ったら
また元に戻します・・・。
正直、疲れた・・・。
久しぶりにJRのサンダーバードで行ったんですが
途中の路線で人身事故があったということで
しばらく停車し、結局、約1時間遅れで京都入り。
一日めは予定通り南座で玉三郎さまを観劇。
今回は中国の昆劇という伝統芸能との共演で
演目も中国の物語だし、台詞もすべて中国語。
舞台の左右に電光で字幕が出るんですが
3階の私の席からはちょっと遠くて読みづらかったのが残念といえば残念でした。
それと、早起きがたたって
独特の台詞回しに誘われて、ついウトウトしてしまい・・・。
玉さま、ゴメンナサイ。
でも、綺麗でした。
女形って、本当に不思議な存在です。
仕草も何もかも、もう女にしか見えないけど、男なんですよね。
見に来るのはオバサマばかりかな、と勝手に思ってたんですが
若い人や男性もたくさんいて、ちょっと驚きました。
人気があるんですね。
南座って、初めて行きましたが
ああいう芝居小屋っぽい建物っていいですね。
また行ってみたいなあ。
で、南座の後は、ホテルのある嵐山へ。
さすが観光地です。修学旅行生や観光客でいっぱいでした。
そこで湯豆腐を食べて、渡月橋で写真を撮って
観光客っぽいことを一通りやってから、ホテル入り。
ちなみに、渡月橋を渡るマイ母(の後ろ姿)です。
とりあえず、その日の夜は、疲れていたせいもあり、あっという間に寝てしまいました。
さて、二日めについては、また後日。
それは、数日前にタウケーン本人からサフィラが同じ事を聞かされたときに見せた反応とまったく同じもので、要するに呆れ果ててものが言えない、という類であった。
一体何故そんなことを、いえ私どもも最初はお止めしたのですが、酔狂にも程があるではないか一国の王子ともあろう者が、お言葉はごもっともですがそういうご気性の方なのです、と王と使者の間でしばらく言葉の応酬が続いた後、ようやく両者とも少しだけ落ち着きを取り戻し、現実を受け入れる余裕が生まれたようだった。
「では、使者殿に尋ねるが」 王は疲れた身体を再び玉座に戻して、改めて使者に目を向けた。
「サフィラの手紙にある同行者とはタウケーン王子であるとお思いかな? 二人揃って姿を消した以上、そう考えるのがもっとも自然だとわしには思えるが」
「いや、いくら王子でもそこまでは……」
使者は恐れ入るように答えた。しかし答えながらも、その様子はどこか自信なさげである。あのタウケーン王子なら、それは非常にあり得る、という思いを胸中から拭い去ることができないためである。
「果たして、そうであろうかのう」
使者の返答に、王も不審の表情をありありと浮かべた。使者の言葉など頭から信じていない様子である。正直、立て続けにいろいろなことが起こったために、王も半ば投げやりな気分になっている感は否めない。サフィラが逃げ出してしまった今となっては、誰と一緒にいようが、何処に行こうが、もう後の祭りなのだから。
そして、使者はヴェサニール王に負けず劣らず頭を痛めることになった。
厄介なことを仕出かしてくださった。
もしもサフィラ王女をかどわかしたのが本当に王子であれば、本国の国王に何と申し開きをしよう。いや、それよりも、目の前にいるヴェサニール王への言い訳のほうが、より差し迫った問題である。
使者は、王子がフィランデでいつもそうであったように、今回も、夜通し城下の酒場で飲み明かして、そのまま眠るか何かしてしまったために今ここに姿が見えないのだ、と思い込もうとしたが、身の回りの物も消えているという事実が、その想像を消し止める。
王と使者とが互いに相手の反応を窺い合う中、それまで一言も発さずに王の隣の玉座に座っていた王妃が、突然思いついたように言った。
「あなた、これはもしかしたら、世に言う 『駆け落ち』 というものではないかしら?」
「か、駆け落ち?」 王妃の突拍子も無い言葉に王は驚いた。
「そうですわ。サフィラと王子は、一目見たときから、きっと互いに魅かれあったのですわ。それで、手に手を取り合って……」
本気で言っている、というよりは、多分に当てずっぽう的な発言である。
しかし、王妃自身も王に劣らず頭の中が多少混乱しているため、みずからの言葉の辻褄が合っていないことには気づかず、そうであったら気が楽なのだが、という類の思い付きであった。
むしろ、みずからのロマンスめいた発想が何となく気に入ったらしく、少しばかり夢見るような表情さえを浮かべている。
「王妃よ、それは非常に無理がある」 しかし、王はあっさりと水を差した。
「よく考えるがよい。そもそも 『駆け落ち』 とは、想い合うことを反対された男女が行なうものだ。サフィラと王子の場合はどうだ? 誰一人反対なぞしておらん。むしろ皆が諸手を挙げて大賛成しておるのだぞ」
唯一賛成していなかったのは、結婚する当人すなわちサフィラである。
しかし、その点を王はあえて無視した。
「それなのに、結婚式を目前に控えた花嫁と花婿が何故手に手を取って国から逃げ出さなくてはならないのか。それは有り得ぬ話じゃ」
「それは、そうでしょうけれど……」
王妃は否応なく現実を突きつけられ、目に見えて消沈した。どうやら、王妃なりに良い考えだと思っていたようだ。
やれやれ、と王は心の中でため息をついた。
普段はしっかり者の王妃だが、ときどき乙女のように甘い無邪気さを発することがあるのだ。いつもならば、それも愛すべき王妃の資質として認めることにやぶさかではないが、今は違う。
それにしても、と王は重い額を手で支えながら考えた。
王女がいない。
王子がいない。
結婚式もない。
この不始末は、どのような形で解決を見るのだろうか。
タウケーンがサフィラを連れ出した、という言いがかりでフィランデの使者を叱咤してはみたものの、実のところ、それは事実ではないだろうと、王はうすうす勘付いていた。
十中八九、サフィラは結婚を疎んじて逃げ出したのだ。
最初から嫌がっていたではないか。認めたくはないが、それしか考えられない。
分からないのは、タウケーン王子だった。
王子がサフィラの同行者であるかどうかはともかく、何故、彼自身も姿をくらます必要がある?
酔狂ゆえの行動にしても、意味不明である。
王は、再度ため息をついた。
→ 終章・旅の始まり 8 へ
数年ぶりです。
母親が、どうしても南座で玉三郎を見たいと言い出し、
一人で行かせるのは非常に心配なので、付き添いです。
私は別に玉三郎ファンではないのですが…。
最初は日帰りの予定だったんですが、
何だかんだでお泊まりすることにしました。
太秦の映画村にも行く予定なので、ちょいと楽しみですけど。
なので、小説の更新は帰ってきてからになります。
しかし、親と旅行なんて、ホント久しぶりです。
どうなることやら。