最新本ではなく、古い本ばかりですが。
昔は欲しい本を見つけたら、即買いしていたワタシですが、
ここ1、2年、めったに本を買わなくなり、本屋さんにも行かなくなりました。
なので、今はどんな本が出ているのか、誰の作品が売れてるのか、なんて
まったくのウラシマ状態。
いや、さすがに東野圭吾ぐらいは知ってますけど (あまり好きではありませんが……)。
で、書店にいく代わりに図書館へいくことが多くなりました。
図書館はイイ。
なんたって、タダ。
読み終わったら返せばいいんだから、本棚もイラナイ。
しかも、いろいろなジャンルがあり、あまり興味がない分野のコーナーでも、
フラフラ歩いているだけでオモシロそうな本を見つけることがあります。
今、7冊ほど借りていますが、ほとんどが英米作家の小説。
ヘミングウェイやら。
ジョイスやら。
スタインベックやら。
なぜ、今、決して新しいとはいえないこの人たちの作品を読もうと思ったのか。
それについては理由があり。
この前、大学時代の友人と会った、という話は数日前にブログにも書きましたが、
そのときに、当時の授業の話などでかなり盛り上がりました。
「あの先生の授業はオモシロかったな」
「え、どんな授業だっけ?」
「ほら、アメリカ人の教授で、ムダに明るくて賑やかなヤツ」
「あー、あれか。覚えてる覚えてる」
みたいな話が続きまして。
そのうち話題は、当時読まされたアメリカやらイギリスやらの作家のことになったんですが。
「ところで、あの時授業で読んだ小説って、どんな内容だったっけ?」
「えーっと、あれは確か……元・兵士の男が」
「……それ、違う話じゃない?」
「そうだっけ? あ、じゃあ、あれだ。漁師がいて……」
「……それも違うような……」
「……」
「……」
「忘れたね」
「忘れたな」
……年をとる、というのは悲しいものです。
あの頃、山のように本を読んだはずなのに、
今では、それがどんな内容だったか、どんな登場人物がいたのか、
2人ともほとんど覚えてない、という……。
なんか、ムナシイぞ。
そんなことがあり、懐かしさも手伝って
この際、新しい作品を読むよりも、当時読んでいた本を改めて読み返してみようか、と
思い立ったわけです。
でも、心のどっかでは
「古い小説なんて、マジメで難しくて読みにくくてツマンナイんじゃないの?」 と
正直思っていた部分はあるんです。
(そんなこと言ったら、「指輪物語」 だって、「ナルニア国」 だって
ワタシが生まれる前に書かれた作品なんですけどね)
が、トンデモナイ。
確かに学生の頃は、
「読め」 と言われてイヤイヤ読んでいた (だから覚えていないのかもしれない……) 作品ですが
「読んでみよう」 と思って読むと、これがなかなかオモシロい。
特にお勧めはヘミングウェイ。
シンプルな文章であまり装飾せずに淡々と書かれていて、
(ハードボイルドと言われる文体ですが) 決して難解ではないと思います。
書評は苦手なので、ここでは差し控えますが、
まだ読んだことのない方は、一度目を通してみてはいかがでしょうか。
ACT 7 終了しました。
ムリヤリ終了させました、というか。
本当は、あの後にもう少し続く予定だったのですが、
ダラダラするのは目に見えていたので、キリのいいところでバッツリ終了。
キリがいいといっても、なんとなくイキナリ終わるなあ……という感じではあるんですが。
このブログにも何度も書きましたが、文章を書くのって、ホントにしんどい。
スラスラ書ける時もあるけど、全体的には筆が滞りがちで、
しかも、そうやって書いた文章を読み返してみると、おぼつかないし、たどたどしいし、
表現にチカラを入れすぎてるかと思えば、別の箇所では適当に書き流している感じもして
書けば書くほど、自分のヘタさを思い知る今日この頃。
今まで書いてきたのを読み返すだけでも、正直イヤ。
こんなんで、よくもまあ前の会社ではコピーとかキャッチとかを書いていたもんだ、と
今さらながら恥ずかしい限りです。
商品コピーと小説、という違いはあるかもしれないけど、
言葉に対する感性が必要なのは、同じこと。
ああ、当時の得意先の皆さん、ならびに、営業マンの皆さん、
適当に仕事をしていたかもしれないワタシを許してください。
趣味でブログに載っけてるんだから、別にこれでもいいか……的なスイートな思いがある反面、
いや、たとえ趣味でも人目にさらしているんだから、
せめて読んでくれる人に 「ヘタだなあ……」 と思われないくらいのものでないと……という
生来の見栄っ張りが、書いている途中で頭をもたげてきて、
結局は、その2つの思いがイタチゴッコをしてる感じです。
文章にまとまりがないのは、その2つが現われたり消えたりしているせいなのかもしれません。
しかし、ACT が終了するごとに、
毎回このような反省をし、「次からは、もっと……」 と思っているにも関わらず、
今もまた、こうやって落ち込んでしまう、というのは
結局、反省したところで、それを次に活かそうとしていない自分が、毎回いる、というわけで。
まあ、小説の話は、ひとまず置くとして、
ここで 「反省」 という言葉が出てきたので、ちょいと思うところを書いてみます。
小説を書く、ということに限らず、ワタシの行動全般について考えてみると……
失敗を反省し、次からは 「ガンバロウ」 と決心することは今まで多くありましたが、
じゃあ、ホントに 「ガンバって」 きたのか……と問われると、
??? ギモンフです。
決心することと、行動することは、イコールではありません。
イコールにするためには、「やる気」 がないとね。
決心しただけで、なんかヤリトゲタような気になって
それで安心していてはイケナイ、ということを百も承知でいるハズだけど、
それが実行できていない、というのは、結局、「やる気」 そのものが欠けているのか。
ただ、自分に甘いだけなのか。
ふと、昔、こんなことを言われたのを思い出しました。
「やれば出来る子なんです」 と、親はよく言うけど、
問題は 「やるかどうか」 がポイントなんだ、と。
まったくだ。
いや、他人事ではなく。
「ガンバって」 こなかったわけでは、ないと思う。
ただ、見栄や虚栄心、プライドといった、
他人の目に映る、ワタシんちの玄関口に貼られた看板みたいなものが
「ガンバリ」 の原動力となっていただけで、
その看板が汚れないように、傷つかないように、評判を落とさないように、
それだけでガンバっていたのかもしれません。
でも、それって 「やる気」 とは違うような気がします。
同じなのか?
それも判りません。
結局、そんな仕事のやり方に疲れて、
モチベーションも下がりっぱなしで、この先それが上がる見通しも立たなかったから、
会社を辞めたんですけどね。
話がそれましたが。
で。
何が言いたいのか、というと。
……。
……。
なんだっけ。
そうそう。
だから、「ガンバロウ」 と自分で思ったのなら、本当にガンバらなければイケナイ、ということ。
ガンバらないということは、自分で自分を騙すことになるし、
どうせプライドを持つのであれば、
自分を騙してヘラヘラしている自分なんか許せない、という方向に持った方がいい。
難しいけどね。
前にも書いたように、ワタシ、自分に甘いし。
なんか、説教くさい記事だ。
ホントはこんな内容は、書いてる本人以外の人にはどうでもいいことだし、
あまりブログに載せたくないんだけど、思うままに書いたら、こうなりました。
小説だけでなく、日記の文章も脈絡なくてヘタなんです、ワタシ。
気を取り直して。
PURPLE HAZE のACT 8 開始は、まだ先のことになりそうです。
ここしばらく、本というものを読んでいなかったので、当分は読書モードに入ります。
ハードディスクの録画も山のように溜まってるし、そろそろ見ないと。
そういえば、最近写真もあまり撮ってないから、そろそろ撮りに行きたい。
年末から単発で入った仕事は、もう片付いたし。
うーん、やりたいことだらけ。
昨日、久しぶりに図書館にも行ってきました。
建物の中が本だらけ、という光景は、何度見てもテンション丸上がり。
図書館に住めたらいいのに、と99,8%ぐらい本気で思っている、今日この頃のワタシです。
「それに、ハコムラのことだけじゃない」 J が新しい煙草に手を伸ばす。
「ほら、今日尾けてきた連中。あいつらのことも気になるんだ」
「……ああ、それもあったな、そう言えば」
J に言われて、今日の一連の騒動の発端となった事件、
一部の警察関係者は NO の指示の元、今この瞬間も夜のダウンタウンを駆け巡っている、
その原因となった事件のことを、諛左はようやく思い出す。
「連中の正体は判らないんだろう?」
「ハッキリとはね。でも、たぶんハコムラ本社を出た後から尾けられてたんだと思う」
「なんだ、じゃあ結局、それもハコムラ絡みか」
「だから、ハッキリしないんだってば。
とにかく、それをあーちゃんに調べてもらおうと思ってさ。
あーちゃんは奴等の顔も見てるし、たぶん、すぐにアタリをつけてくれると思うんだ」
「話を聞いてる限りでは、調べなきゃならないほど大した連中でもなさそうだがな。
……ま、いいんじゃないか。それより、明日の件だが」
「明日ぁ?」
今日だけでも色々な出来事が起こったというのに、
この上、夜が明ければまだ何か待っているのか、と言いたげな J の視線に、
呆れた、というよりも、ウンザリ気味の表情を諛左は返した。
「もう忘れてるのか。狭間との会見があるだろうが」
「おーっと……すっかり忘れてた」
「そういうヤツだよ、お前は」
「まあ、そう言うな。で、何時だっけ」
「1時」 悪びれもせずに答える J に、今度はため息交じりの諛左である。
「だが、どっちにしろ、明日は俺一人で行く。お前は連れて行けないな」
「え、なんで。ウワサの狭間の顔を見てやりたかったのに」
J の問いに答える代わりに、諛左は J の頭の包帯に目をやった。
その視線の意味に気づいた J が、少しだけバツが悪そうに包帯の上から頭を掻く。
「……これか」
「そうだ」 諛左の声は厳しい。
「天下のハコムラ様に、真昼間から
『昨夜ちょっとケンカしました』 っていうツラの人間を連れて行けるか。
入り口で止められるに決まってる」
「そんなにヒドイ顔かな……」
「いつもよりはマシな方だが、
毎日会社のデスクで真面目に仕事をしている青白い人種から見れば
つい敬遠したくなるようなツラ構えだ」
容赦なくそんな事を言う諛左に、むっつりとした表情の J が反論すべきか迷っていると、
タイミングよく、隣室へのドアにノックの音が響いた。
「何、話してるのぉ?」 と、顔を覗かせたのは、あーちゃんである。
「2人して客を放ったらかしにしてたら、イカンじゃないの」
どうやら、さすがのあーちゃんも阿南との話題が尽きたようで、
今度は、密やかに隣の部屋で交わされている諛左と J の会話に興味を持ったらしい。
探るような光を青い目に浮かべて2人を交互に見比べている。
その背後から、阿南がソファに座ったまま、同じように視線を向けていた。
一瞬、J と諛左は顔を見合わせた。
さて。
この賑やかしい男と、背後で黙々とコーヒーをすすっているカタブツな男に、
何と言って話を切り出すか。
軽い鬱気を感じながら、J はゆっくりと立ち上がって隣室へと向かった。
後に諛左が続く。
しかし、いつも仕事の度に味わってきた、馴染み深い倦怠感に包まれながらも、
J の心の中では、憂鬱とは別の感覚が芽生えようとしていた。
それは例えて言うなら、少しずつエンジンが温まっていくような、
目的に向かって走り出す準備に入ったような、そんな前向きな感覚だった。
諛左と話して少しばかり気が楽になった、ということもあるが、
スロー・スターターであることを自負している J が 生来の慎重さを経て、ようやく、
厄介で面倒な今回の一件と向かい合う心づもり (あるいは 『開き直り』) を整えた……
この時が、まさにその瞬間だったのかもしれない。
依頼を受けて、まだ3日。
その間に起こった様々な出来事を思えば、この先どんな状況が待っているのか、
どこまで複雑に物事が絡み合っていくのか、当事者の J にすら予測がつかない。
だが今の J の心境は、『なるようになれ』。それだけだった。
今後どんなシビアな展開になろうとも、その一言ですべて受け流す。
受け止める、のではない。受け流す、のだ。
『覚悟』 というには、やや気迫が足りない心情ではあるが、ともかく J は唐突にそう決心した。
「あーちゃん、ちょっとオモシロい話があるんだけど」
ドアのところに立ったままのあーちゃんの肩を、すれ違いざまに軽く叩き、
そう言った J の言葉には、どこか吹っ切れたような様子があった。
J の心境の微妙な変化を未だ知らない諛左は、
それを耳にして、意外そうに眉を上げただけだった……。
-ACT 7- END
→ ACT 8-1 へ
ただ今、またもや書き悩み中。
書けば悩み、悩めばますます書けなくなる。困ったもんだ。
プロフィールのトコに貼ってあったブログパーツ emo のサービスが
2月で終了する、ということで、その前に退会することにしました。
代わりに、最近、他のブログでもよく見かけるグリムスの苗育成ブログパーツに参加。
このブログパーツは、記事を書くごとに、
最初は苗の状態のパーツが、だんだん成長し、やがて大人の樹になる、というもの。
だんだん変わっていく、という成長モノが好きなワタシとしては、
ちょっと面白そう、と軽いノリで参加してみたんですが、
大人の樹になったら、実際に、世界中にある森に本物の樹が植樹されるそうです。
森林伐採が環境問題として叫ばれる昨今、
自分の環境意識がどれだけ高いのか、と聞かれると、ちょっと迷うところですが
(意識が低い……という自覚は山ほどあるけど)
こういうのに参加してみるのもいいかな、と。
さてさて。
先日、母親からきたメールについて。
軽い近況報告のほかに、こんな内容が。
この前、母の同級生から電話があり、
その人の娘さんの友人に、
結婚願望が強いのに、なかなかいい相手にめぐり合えない独身男性がいて……
……みたいなことが書いてあり。
まあ、ここまで読めば、後にどんな話が出てくるかは、だいたい判る。
うーん。
うーん。
そりゃ、いい年して未だにフラフラしてる、そんな娘の行く末が気になるのも判るんですが
当の娘、つまりワタシは 『別に、まだ……』 というのが、正直なところ。
黙ってるけど、付き合ってる人もいるし。
別に、結婚したくない、というわけではなく。
かといって、もんのすごくしたい、というわけでもなく。
そんなワタシだから、
『オレ、ものすごく結婚したい!』 なんて思ってる男の人を、『どーよ』 と紹介されても
ハッキリ言って、かなり引いてしまいます。
いや、そりゃ、実際会ってみたら、かなりいい人かもしれませんが、
なんといっても、真剣さの度合いが違うし。
どうも、ウチの母親は、ワタシが一生一人でいるつもりだ、と思ってるようで
折に触れ、こんなメールを寄こします。
そして、メールの最後には、
『やっぱり、長い人生、一人で生きるのは、寂しいものですよ。
どうですか。ここらで、考えてみるのも、いいのでは?』
という文章で〆。
でもねえ。
今の自分の独身生活、ハッキリ言って非常に気に入っているワタシ。
結婚して、この自由さを失うのは、やはり苦です。
たぶん、そういうのが苦でなくなるほど、
そんな自由や気楽さを失うことも厭わないほど、
それほど好きな人が現われれば、『結婚したい!』 と思うのかもしれない。
(今つきあってる人は、そういうタイプではないし。
どちらかというと、ワタシと同じタイプで 『どっちでもいい』 派)
でも、今のところは。
お母さま。
もうしばらくは、アナタの心配をよそに、フラフラするであろう親不孝な娘を
お許しください。
そのうちね。そのうち。
でも、『そのうち』 なんてノンキなことを言ってるうちは……ないな。
再び、軽い沈黙が場を支配する。
壁越しに聞こえてくる、あーちゃんと阿南の声からすると、
2人の会話は相変わらず続いているようだ。
主に話題を提供しているのは、あーちゃんの方だろうが、
それにしても、初対面の人間を相手に、
よくもまあ、そんなに話すネタがあるものだ、と J は感心する。
それがあーちゃんの才能だ、とは先程の諛左の言葉だが、
情報屋として、他人から情報を引き出すための手段だとしたら、
才能と言うよりは、技能に近いのかもしれない。
まあ、どちらでもいいことだが。
甲高いあーちゃんの声に、聞くともなしに耳を傾けていた J は、
ふと、あることを思いつき、再び諛左に話しかける。
「ねえ、諛左。どうせ阿南を引き込むんだったらさ……
ついでに、あーちゃんの手も借りようぜ」
「アーサーの?」 思わぬ提案に、今度は諛左の方が眉をひそめる。
「何でまた」
「あーちゃんだったら、センタリアンの情報屋にも顔が利くし、
メディアに載らないハコムラの噂や内緒話が手に入るかもしれないだろう?」
「アナムと鳥飼だけでは、足りないと?」
「方やボディガード。
もう片方は、役立たずで胡散臭い、ハコムラ総帥夫人の義理の叔父。
どちらも、ハコムラのすべてを把握しているわけじゃないから、
そんな簡単に有益な情報が手に入るとは思えない。それに……」
那音も阿南も、いわばハコムラの関係者である。
2人から得る情報には、内部の人間ならではの私情が多少なりとも含まれるだろう。
特に、憶測と偏見と邪推に満ちた那音の意見は、尚のことである。
更に言うなら、どちらも麻与香が後ろで糸を引いている可能性がある。
役立つ情報が得られるかどうかは怪しいものだ。
その点、『情報屋』 ならば、客観的に見た上で不審な動きを嗅ぎ分け、
『いわくありげな』 情報だけを洗い出してくれる。
第三者の視点というのは、なかなか侮れないものだ。
それを商売にしているのだから、信憑性も高い。
だが、諛左は余り気が乗らない様子だ。
「アーサーねえ……」
と言ったきり、少し考え込むような表情を見せる。
『情報屋』 としてのあーちゃんの腕前に、
諛左が少しばかり懐疑的であることは J も知っている。
今までに何度となく J 達の手助けをしてきたあーちゃんである。
その仕事ぶりに、J 自身、特に不平はないのだが、
やや完璧主義のきらいがある諛左から見れば、今ひとつ物足りなさを覚えているらしい。
しかし J としては、持ち駒は揃えられるだけ揃えておきたい、というのが本音だ。
「どっちみち、今回のヤマは、
お前とアタシだけで片付けるには、ちょっとスケールがデカすぎる。
使えそうなモンを放っておく手はないでしょ」
「本当に使えるのかね」 と、まだ諛左は疑わしげだ。
「それは、使ってみないと判らない」
「ないよりマシ、ってところか」
そう言ってため息をつく諛左には答えず、J は、ただ笑った。
今の諛左の言葉を聞いたら、あーちゃんは怒るだろうか。
いや、多分 『そんなツレないこと、言うなよん』 と笑っているだけだろう。
あーちゃんは寛容な男だ。
数年前から始まった J とあーちゃんとの付き合いが未だに色褪せていないのは、
仕事の能力だけではなく、そんな寛容さに J が惹かれているせいもあるのだ。
→ ACT 7-18 (完) へ
大学時代の友人から数年ぶりに電話があり、
「今日、出張で金沢に行くけど、夜にでも飲みに出てこれない?」 とお誘いが。
今日の今日かよ、と思いながらも
久しぶりで懐かしいので、カゼ気味ながらもいそいそと出かけました。
この友人は、出張のたびに連絡をくれる律儀なヤツ。
久しぶりに見た顔は、やたら肉付きが良くなっていて、
よく言えば 『貫禄』 のある外見になっていました。
ぱっと見、普通のオッサンやん。
……というツッコミは置いといて。
話題はやっぱり大学時代の話。
ワタシ、自分では記憶力が良い方だと思ってたんだけど、
その友人と話していると、意外と忘れてることが数多くあり……。
たとえば、先輩や教授の顔を覚え違いしていたり、
授業の中でこんな話があったとか、飲み会であんなことがあったとか、
結構、記憶ってアヤシイなあ……と思うこと、しきり。
どの話も懐かしく、
「よく覚えてるねえ」 「懐かしいねえ」 を連発しながら、
ふと、「あの頃に戻りたい?」 と尋ねてみると……。
「あの頃は楽しかったけど……ただ楽しかっただけだなぁ……」 という答えが。
目的もなく、ただただ、楽しいことに夢中になっていた。
それはそれで当時は満足してたけど、今、思い返すと、
「……ちょっと空しい気もするな」。
楽しいだけで良かった時代。
そんな時代を経てきたからこそ、今の自分があるわけで。
今の自分を無視して、当時の自分を羨んで、もう一度あの頃に戻っても
結局は同じ道を歩いて、今の自分に行き着くのかもしれない。
戻れないからこそ、あの頃は楽しかった……と言えるのかもしれないし。
今ではすっかり、いいオジサンとオバサン……と言えるような年齢の2人が
わずかばかりに残る当時の面影に、しばし懐かしさを共有できる。
それが、昔の友人のいいトコロ……なのかもしれません。
大学時代の話の他にも、
恋愛話やら、結婚の話やら、仕事の話やら……話題は尽きず。
「そろそろ、皆で集まって、同窓会したいね」
ワタシ達だけでなく、きっと皆そう思ってる、そんなお年頃。
ここは一つ、大学のある地元に残っている自分としては
いつもの面倒臭がりを返上して、幹事として皆に声をかけてみようかな……と、思う
そんな時間を過ごしたひとときなのでした。