散歩がてらに本屋に行ったら、ちょっとオモシロそうな本を見つけました。
マール社出版の 『トンパ文字伝説』 という本です。
トンパ文字という言葉を聞いたことはあったけど
どんなものかは全く知らなかったので、
パラパラと中を見ているうちに欲しくなり、つい衝動買い。
この本によると、トンパ文字というのは、
中国の雲南省でナシ族と呼ばれる人々によって伝えられてきた
現代唯一の象形文字だそうです。
奥地であったこともあり、文字の存在は長い間知られておらず、
そのために1000年以上経った今も、原始的な形態のままで残ることができたとのこと。
今では観光土産のシャツなどの図案で使われたりしてるようですが、
実際のところ、この文字をきちんと文字として熟達して使えるのは
ナシ族でもわずか数十人だとか。
この本には、トンパ文字をデータ化して PC で使える CD が付いています。
その中から、幾つかの文字をご紹介。
物や現象の形をそのまま絵にした文字なので
字を見ればどんな意味なのか、なんとなく想像できるところがオモシロい。
たとえば、 これは 「人」。
そして、 「雨」。
見たとおり、という感じですね。
2つの文字を組み合わせて、違う意味を持たせる場合もあり、
たとえば、 「睡眠」 に 「夜」 を組み合わせ、
これが 「夢」 という意味になります。
なるほどね。
なんて素朴。
そして、 これが 「恋」。
2人の人間が、なんか楽しそうです。
ちなみに、アタマにトサカみたいなのをつけている右側が女性。
でも、よく判らないものもある。
これは 「私たち2人」 という意味。
これは 「僕たち2人」。
どう違うんだ。どう使い分けるんだ。
あと、動物をあらわす言葉の中でも判りにくいものがあります。
これが鳥の 「タカ」。
これが 「悪いタカ」。腹黒いというイミか?
そして、これが 「カラス」。「悪いタカ」 との違いは?
最後に、「愛する」 というイミの文字。
2人が心を交換し合っている様子を表したものだとか。ステキです。
ちなみに、ここで紹介した文字の意味は本を参考にしたものであり、
ここに載っけた画像は 付録の CD に入っていた wmf 画像データを
アドビのイラストレータで筆文字ブラシタッチに変換したもの。
文字に色をつけることによって、また意味が広まったりするようです。
たとえば、赤い鳥はメス、青い鳥はオス、黄色いトリはヒナ……という具合。
こんなに可愛らしい文字だけど、
ちゃんと意味があり、ちゃんと使っている人々がいます。
深いです。
「悪いタカ」に笑ってしまいました。
タカ自体、カエルにしか見えないんだけれど、悪いタカは腹黒になっちゃうんですね(笑)。そしてもっと腹黒が進むとカラスになっちゃうのか。んまぁタカとカラスって形が似てるっちゃあ似てますよね。
あと「恋」は恋人たちがダンスしてますね。
なんか素朴でいいです。カワイイ。
漢字が大陸から伝わったことを考えると、
トンパ文字との間には何か起源的なつながりがあるのかもしれませんね。
とにかく、今の世にこんな文字が存在したのか、と目ウロコでした。
他にもオモシロい文字がたくさんありました。
「悪い木」「悪い運命」「悪い奴隷」などの悪いシリーズの他に、
「良い馬」なんてのも。