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蝶になった夢を見るのは私か それとも 蝶の夢の中にいるのが私なのか 夢はうつつ うつつは夢


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先日手に入ったオヤジさまの日記を、まだ読み続けています。
なにしろ、細かい文字でびっちり書いてあるので、読むのにも時間がかかるったら。

で、読んでいる中で、
「え、そうだったの?」 という新事実を発見。


なんと、うちの父も、一時期小説を書いていたらしい。
というか若い頃には、小説家になりたい、という夢もあったらしく
ちょっとビックリ。

教師を退職して、その後、特にやることもなく、
好きな古代史のことを研究したり、本を読んだりしている毎日だったみたいだけど、
そのうちに、自分でも小説を書いて楽しんでみよう、と思い至ったらしいです。
そんなことが書いてありました。


で、そうやって父が小説を書き始め、多分しばらくたってからの日記の記述に
気になることが書いてあったので、長いけど抜粋してみました。
以下、それです。


          小説を書いていて気づいたことだが、どうも深刻な筋に一人歩きしがち。
          もっと気楽に。あるいは、こういうところが未熟さによるものかもしれない。
          頭の中であたためた筋に従い、いざノートに創作していくと、
          いつのまにか予期せぬものになってしまう。

          小説は作者の意図を離れて一人歩きする、とは一流の作家達の述懐だが、
          それでも出来上がったものは、きちんとまとまり、
          ため息の出そうないい表現がちりばめられ、読者を魅了する。
          自分の書いたものは、これとは大分違うようだ。
          予定通りの筋に展開しないのはいいとして、読み返してみると、
          文章の貧弱さ、拙劣さにうんざりする。
          もっと目をためて書くべきだが、それができない。
          ついつい先急ぎになり、小説よりは筋書きを書いているようになってしまう。
          ここらがプロ作家との違いだろう。

          文学的表現というのは難しい。
          気負いこめば筋が思うように進まず、ようやく文章にして次へ進む。
          後で、前の部分を読み返すと、なんと下手な文。
          気の乗っていない、だらだらと惰性で書き殴ったような、しまらない文。

          先を急ぐことはない。もっと目をためて。
          テーマの焦点がぼけないように。
          そのためには、始めに人間のどういう心理・行動を描こうとするのか、
          目標をきちんと定めて、途中であれこれ思いつきみたいなテーマに振り回されないように。


……てな感じのことが、書いてありました。

多分、父が小説を書いていた頃というのは、
今みたいにラノベ系の小説なんかなかった時代だから、
きっと重厚で硬派な本ばかり読んでいただろうし、
それらと自分の文章を比べた上での反省点だと思うけど、
この日記を読む限りでは、どうやら本格的に書こうとしていたような感じ。


でも、読んでみて驚きました。 
オヤジさまが日記に書いたことは、
そのままワタシ自身が自分の文章に対して何度も思うことだったから。

もう、ホント、そのまんまです。
「あるある」 「わかるわかる」 が一杯です。
親子って、やっぱり考え方とかが、いつのまにか似てくるんでしょうか。


歴史が好きで、
小説を読むのが好きで、
おまけに小説を書いてもいた。
それがワタシの父親。

今はもういない人だけど、
こうやって今更ながら、自分と父に共通点がいろいろあったことを知る、というのも
不思議な感じです。奇妙というか。

そして、なんだかちょっとだけ元気が出ます。
同じく小説を書きたいと思っている自分にとっては先輩、とも言えるわけだし。
それが父親なら、なおのことウレシイ気がします。
「へえ、お父さんもそうだったんだ」 みたいな仲間意識といいますか。
父親の夢だったから、というわけではないけど、
やっぱりワタシも書き続けていきたいな、と思ってしまいます。

あいにく、このブログの小説の方は、現在休止中ですが……。
でも、そろそろ復活させたいと思っていたので、
今こういう日記を見つけたことは、
タイミング的にも 「書け」 と後押しされたような感じです。
勝手な思い込みですが。


もしも、今まだオヤジさまが生きていて
ずっと小説を書いていたとしたら、
今頃、ワタシのようにブログでそれを発表していたかもしれません。

そして、親子で、互いに書いたものを読みあって、批評して……。

いや、それはないな。
ワタシも父も、そういうものを肉親に見せることに物凄く抵抗を感じるタイプだし、
そんな恥ずかしいこと、親子でゼッタイできません。
(と、父も思うに決まっている。性格もワタシと似てるから)

というか、もしも父がワタシの書いたものを読んだら、
ゼッタイ、ダメ出しされます。ゼッタイ。
(でも、ワタシもするけど)

あいにく、父の小説が書かれているノート等は見つかっていないので
どんな内容のものだったのか判らないのが、ちと残念。
こっそり読んでみたいのに。

まあ、知らなかった父親の一面を知ることができたし、
それのおかげで、遠くに行った人ではあるけど、以前よりも近い存在になった、ということで
今回は、よしとすることにしましょう。
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オヤジのノオト・その2 
お久しぶりです。
このお父様のノートのお話がとても興味深いと思って読んでいました。本当になんというか、一期一会って言葉を昔の人が言った感覚がなんとなくわかるイメージです。

ちょっと近くの人のお話をきちんと聞こうという気になってみたりしたのです。JMOONさんありがとう。
ヒロ URL 2009/11/22(Sun)00:23:48 EDIT
Re:オヤジのノオト・その2
ヒロさま

いつもコメントありがとうございます。

>ちょっと近くの人のお話をきちんと聞こうという気になってみたりしたのです。

それって、すごく大事なことですよね。
大事といいながらもワタシの場合は
いつも後になって、それが出来ていなかったことに気づいて
後悔する方が多かったんですが……。
こういうノートが見つかったことで、なおさら
父とも「もっといろいろなことを話せばよかったなあ」と後悔しきりです。

せめてこれからは、こんな後悔はしないようにしていきたいなあ、と
思っているんですけど、これがなかなか……。
J. MOON 2009/11/26 (Sun)15:11
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